窮邃
窮邃とは汽水の香と微糖の甘相対の一部であることを自覚して諦観すること
余甞上彼鉄塔之頂柱如踏半空
朝凪を終えた弱々しい海風が砂浜を脳回様へとうねらせていました平穏の地平から迫りくる潮音が次々に足を躓かせていました高速道路の路灯のように延々と続く孤独のなかでそれでもいまだに生き続けていました
点滅する交差点の中央に臥しても、そこには誰もいない海靄で散乱する船灯も、景観に抗うようなクラブのネオンも、ないそれでもいまだに生き続けていました
道端でカラカラと音を立てる風車の韜晦も、木隠れの虚莽に残るグルマンノートも、ない目が覚めても、覚めてもいつも空間の際にいる融和のもとで分解してもいつか綻びのなかで小朝廷のように統合される精神的自己が社会と協奏関係にないそれだけもう何もない、全部ホワイトチョコのパパゲーナも、爆音のシューゲイザーも、全部早くデリートしたい
夏は、重粒子線を体で受け止める友人が生きているかどうかを確認する以外にやることがありませんでした夏は、層を成す黒雲と白雲が先々から分裂していく過程を望む以外にやることがありませんでした
恍惚の蒸気が蝉翼をみたす“僕達は何処に行くんだろう”“⸻”“もう帰り道はないよ、落ちていく以外には”“⸻”“あっても、もう、みえないよ”
轟音の登山鉄道を降りグラススキーゲレンデの隅の死角午後、日が強まるそうだ、ノスタルジーに耽るだけで前に進もうとしない君はこの夏に閉じこもっていたかったんだ君は木製のベンチの一片を剥がして舐める僕はそれを受け取って日にかざすそして、半乾きになったその木片を、下から舐めた