軌道上に花を咲かせるために
花は、それ自体がそれぞれ内包する時間の奴隷であって、既にそこには存在していないのである。他方で花は、沿線の贄として、高密度の容器に吹く微風である。確かにうるさい、けど話ぐらい聞いてやろうじゃないかと翻すと、おそらく木のまな板ではないか、1秒間あたり…いや不規則だ。きっとなにか動画でも見ながら千切りをしているのではないか、夜2時41分というのは私の部屋がそう有らしめているのであって、だからこそすぐそこの信号を渡ると、そこでは土俵と土俵が相撲を取っているのだ。またか、またこの小鳥だ。都会であるとはどういったことでしょうか。・・・。ああ、ピヨピヨ…。・・・(フィルムは感光を始めている)。こいつは、既に俺が花の蜜を集め終えたことを知らない。だからこのような傲慢な視線を向けるのである。…今日も鳴いてやっているのだ。ただそれももう終わりである。新しいコンビニが150メートル先にできる。私を中心とする半径200メートルの中に在るコンビニが過飽和の閾値を超えて、それらはすべて放射状に水源となった。こうして都市は、都市を映す美しき花弁を残し縄文へと還った。そう、君が愛していたあの汽水湖は、海となった。
現実は、非揮発性の夢だから、現象はすべて私の内省である。お前が空気よりも軽かろうと重かろうと、収斂は錆びた鉄臭を帯びる。嵌め込まれた記憶に沿って、四肢を操っているにすぎない。海を越えなければならない。記憶に抗う意識は、今も星間空間を進む。信号が途切れる前に、まだ、軌道上からなら意識を観測することができるのなら。今、軌道上に花を咲かせるために、そう決めた僕はルリジューズに会った。柑橘の酸味が香るルリジューズは、泡沫の車輪を蒸かし、個室付浴場の舟となった。或る早朝、チョコレートポットの攪拌棒を唯一の発射港として、そして放射能泉の水流を唯一の推進装置として、軌道へと進んだ。